二度見必至の映画「チャンス商会 ~初恋を探して~」

予備知識なしで見たんだけど、度肝抜かれて二度見必至になる映画だった〜! 

チャンス商会 初恋を探して [DVD]

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つーことで、ネタバレせずには感想が書けない映画だったので、 折りたたみまする。

 未見の方は絶対にネタバレを見ずに視聴した方がいいと思うので、ご注意ください!

 

 

主人公は強面の老人、演者はパク・クニョン。始終しかつめらしい顔をしとります。

元海軍兵で戸建てに独り住まいをしながら、「チャンス商会」という名のスーパーに勤務。(70歳くらいなので、シルバー再雇用なのかしら? と思いながら見てた)

ちいさな街は再開発事業に湧き、あと1軒、主人公の老人が住む家を地上げできれば、着手できるという状況で、街の(商店街の)人々はじめ、チャンス商会の社長は老人に同意書への判子を押させようとドタバタの群像劇が展開されます。

 

そんななか、老人が朝ご飯を炊こうと炊飯器を開けると、すでにご飯が炊かれていたという不思議な事件が発生。

自分で炊いたのを忘れてまた準備しちゃったのかな? と、それ以前にもスーパーの定休日を忘れて出勤してしまったシーンがあったので、少し不安を抱きつつ見ていたら、なんと! 向かいに引っ越してきた老婦人が、何故か老人の家に忍び込んでご飯の準備をしていたなんて、よくわからない事実が…!

 

早速警察へ連れて行くも、

「ご飯を作ってくれる泥棒なんてありがたいじゃないですか」

と相手にもされず、老婦人には今回のお詫びにご馳走してくださいと言われて、え? これってデートじゃね? って思ったのか、勤め先の社長に頼み込んでレストランデートの指南をしてもらうことに…。

 

そのあとはどんどん老婦人に惹かれてデートを繰り返し、社交ダンスをしたりといいムードになったところ、

  1. 老婦人の病気を匂わせるシーンや
  2. 謎の男性が老婦人に近づいたり(そういえば旦那さんは?)
  3. かなり付き合いが深まったところで、独りで大きい家に住むのもなんだし、再開発のパンフレット見てみてね

…などの怪しい気配のシーンが挿入され、え? 街の人みんなで、おじいちゃんに判を押させるために、このおばあちゃんを仕込んだのかしら?? まさかのハニートラップ!? と見てる側に不安を匂わせたところで、老婦人が病に倒れ、まさかの事実が判明することに!!!!!

 

なんと、この老人と老婦人は夫婦で、スーパーの社長は実の息子でした!

老婦人の娘だと思っていたのも実は実の娘で、老人はアルツハイマー認知症を患っていたところ、奥さん(老婦人)の入院でますます気持ちが弱くなっていき、挙げ句の果てに認知症の自分がいない方が家族のためでは? と思いつめて自殺未遂。

そして意識が戻ったときには、「自分には家族はいない」と、家族のことは忘れてしまっていたという悲しい事実が背景にあったのでした。

奥さんと思い出せずに他人だと思って自己紹介をしたときの奥さんの表情や(冒頭にここと重なる憎い演出があります)、デートがうまくいくように指南していた社長(息子)や、母親の病気のことを思って、もう会わないでくれと言った老婦人の娘が、すべて本当は愛する人だったのかという目線で見直すと、まったく違った印象を残してくれる映画でした。

なんつー脚本!!

 

そして本当にすごいと唸ったのが、痴呆症が進行していった老人の表情が、本当に真に迫っていて、悲しいんだけど、すごいと唸らざるを得ませんでした。

 

変にお涙ちょうだい風の脚本でもなく、淡々と老人同士の最後の恋の話かなと思わせておいて、実は…な小憎らしい設定に脱帽。

そしてそして、記憶を失っても何度でも奥さんに恋をする、しかつめ顔の不器用な老人が愛しく思えるすてきな映画でした!!